1960年代に、東アフリカのタンザニアでブルーのゾイサイトの採掘が始まりました。1967年に米国のティファニー社の当時の社長・プラット氏は、産出 国にちなんでこの美しいブルーのゾイサイトを”タンザナイト”と命名し、積極的に販売促進して徐々に広めました。1989年頃からは産出量が増え、価格が 手ごろになったため、世界市場に広がりを見せています。
ちなみに東アフリカのケニアでは、1960年代末からツァボライト(グリーン・グロシュラー・ガーネット)の産出が始まりました。東アフリカでは、そのほ かにもファンシーサファイヤ、ルビー、エメラルド、ロードライト・ガーネットなどの採掘が行われています。東アフリカ地域は、アフガニスタン・パキスタン 地域、中国とともに21世紀の三つの重要な新しい宝石の採掘地域と考えられています。
タンザナイトはパープルの入ったブルーが大変美しい宝石です。次ページの写真でも、若干のパープルみを見ることができます。サファイヤのコバルトブルーと は異なる、ごくわずかに赤みの入ったブルー、群青色と表現できる色です。タンザナイトは、典型的な多色性という特性を持っています。多色性とは見る角度に よって異なった色が見えることで、タンザナイトの場合、ブルー、藍色、赤みの茶色という三つの色が見えます。フェイスアップで見た時、その三つの色がタン ザナイトらしい色となって表れるのです。
ブルーの宝石は、サファイヤをはじめファンシーブルー・ダイヤモンド、インディゴライト(ブルー・トルマリン)、アクアマリン、ラピス・ラズリ、トルコ石 と豊富にあります。タンザナイトはファセット研磨されたブルーの宝石の中では、濃いめのブルーで透明度の高い非常に美しいものが手に入りやすく、価格も同 程度の美しさのサファイヤに比べて格段に安いのです。
しかし、タンザナイトの硬度は6~7で、水晶の7を基準に考えると耐久性は十分とはいえません。このため、産出に応じた需要がサファイヤに比べて少ないので、価格が安くなるわけです。

Brooch, Gold
Tanzanite 1pc
0.85 ct
Heated
Diamond 2 pc
0.26 ct
US $1,600
Name of mineral : Zoisite
Mohs hardness : 6~7
Refractive index : 1.691~1.700
Specific gravity : 3.35

Weight: 4.61 ct
Size (mm) : L 12.0 x W 9.0 x D 5.85
Heated
Gem Quality
US $4,000
ゾイサイトの種類
現在では東アフリカがタンザナイトの産地です。ほとんどのタンザナイトの原石は加熱され、黄色みや褐色みを抜き、ブルーを引き出しています。しかしすべて 一律な色になるのではなく、原石の素質によって一つひとつ別の色合いになるのは、サファイヤやアクアマリンのケースと同様です。ここでは加熱していないブ ルーのものとグリーンのもの、加熱したブルーのものを紹介します。

タンザナイト(加熱)
このタンザナイトは加熱された場合の一般的なものですが、チェスのボードのような珍しいカット(市松模様)がされているもので、この種のカットをチェッ カーボードカットといいます。カットという言葉は型、輪郭、プロポーション、仕上げ、そしてチェッカーボードのような面の取り方などいろいろな意味を表し ます。このタンザナイトは、正確にはオーバル型チェッカーボードカット・タンザナイトといいます。

グリーン・ゾイサイト(無処理)
グリーン・タンザナイトという名称はありません。なぜならタンザナイトは、ゾイサイトという宝石の中でブルーのもののみに与えられた商業名だからです。名 称は商品の魅力を左右する大切な要素で、ゾイサイトというとなにか堅苦しい感じがしますが、タンザナイトという言葉の響きが与える神秘的な感じは商業名と して大成功といえるでしょう。しかしグリーンのゾイサイトは非常に少なく、商品として出回ることは今のところ考えられません。
タンザナイト(無処理)
この天然のブルーのゾイサイトには、肉眼ではほとんど見えないインクルージョンがあります。10倍に拡大してやっと、テーブル面の端の表面から近いところ に黒い破片のようなものと、テーブルの真下に光るフラクチュアーが見えます。ブルーという色と明度5という条件が、それらをいっそう見えにくくしていま す。肉眼でははっきりと見えないインクルージョンは、面キズを除いてほとんど価値に影響しません。透明度や彩度の善し悪しは美しさに決定的な影響を与えま すが、見えないキズは美しさを損なわないからです。
品質の見分け方
タンザナイトは、色が濃いめで透明度が高いものが美しいといわれます。特に多色性の程度が少ないサファイヤに似たものを、ビューティグレードSとします。 直射日光ではない太陽光線下では、サファイヤブルーのタンザナイトも白熱電灯下ではパープルみがかかり、その程度が少ないものをS、明らかに変わるものを Aとしています。
欧米では多色性の程度が少ないものが好まれていますが、日本では多色性をタンザナイトの個性として好む場合もあるようです。タンザナイトはサファイヤの代 用品ではないのですから、このようなタンザナイトらしさがこの宝石のアイデンティティとして尊重されるべきなのかもしれません。多色性は研磨の際の角度に よって決まることが多く、今後の需要いかんによって最適と思われる研磨に落ち着いていくでしょう。またタンザナイトは軟らかい宝石のため、仕上げが粗い場 合が多々見られますので、ビューティグレードの判定に仕上げが重視されます。
QUALITY SCALE
TANZANITE
Heated

選び方
タンザナイトは非常に美しいブルーの宝石です。サファイヤの代用品ではないので、多色性の少ないものにこだわる必要はありません。ただし、あまりにも極端 に多色性の出るもの、自然光ですでにパープルみの強いものは避けたほうがよいでしょう。もうひとつ重要な点は、タンザナイトは耐久性が十分ではないので、 リング以外のジュエリーで選定するのがよいでしょう。リングは知らないうちにぶつけて、はずみで石欠けが発生することもあるからです。これらの特性を理解 して、タンザナイトの美しさを楽しみたいものです。
3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり1,400 USドルが目安です。 (2004年)
クオリティスケール上でみた品質の3ゾーン

1カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率

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