宝石をつける

ライブラリ
2018年07月22日

ジュエリーは、それを一生の間に何回つけたかでその使用価値が決まります。100万円のものを年5回40年にわたって身につけたら1回当たり5000円 で、しかも40年後にもその価値は残っています。インフレで値が上がっていたら、ただでつけておつりがくることになります。また身につける1回ごとに 100万円の価値があるとしたら、2億円の使用価値があったことになります。いずれにしても、何回つけられるものだったかが適切な選択であったかどうかの 鍵となるのです。あまり使わないと考えられている婚約指輪も、年に何回かつけると相当な回数になるし、ダイヤモンドの立爪にマッチするバンドタイプリング を組み合わせてつけると、かなり華やかな気品のある指輪のつけ方として楽しめます。

現在の日本社会では、日常生活の中で本物のジュエリーがつけられていますが、改まってジュエリーをつける機会は二通り考えられます。一つは結婚披露宴など お祝い事のパーティ、もう一つは旅行や学校行事でしょう。階層社会ではない日本では、欧米のようなパーティはほとんど存在しないため、豪華なネックレスや イヤリングはつける場がありません。ジュエリー業界で「つけて行ける場所を作ろう」ということが叫ばれていますが、欧米式のパーティが開かれるような社会 基盤がないので、現状では難しいでしょう。やはり日本の社会や風習に既したジュエリーのシーンを大事にして、育てていくのが本筋でしょう。

宝石は、照明や周囲の光線で美しく見えたり美しさを失ってしまったりと、大きく変化します。店頭の強いスポットライトにあてられていたルビーが、自宅の蛍光灯下で黒ずんで見え、これが同一のものかと目を疑った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

光線による見え方の差は、宝石の特質の一つです。一般に、赤の宝石であるルビーは電灯下でより美しく、青系統のサファイヤは蛍光灯下でよりはっきりしたブルーが見られます。ダイヤモンドは太陽光線や電灯下で見ると、より虹色の分散光が美しく発散されているのがわかります。

宝石をつける人と買う人は、同じ場合と異なる場合とがあります。日本の中高年の女性は数十万円のものは自分で決めて買う場合が多いようです。日本の社会で は、夫の給与振り込みが幸いして妻が"大蔵大臣"のことが多く、またジュエリーはいずれ娘や嫁に譲るものだから無駄遣いではないという理屈も手伝って決断 されるのでしょう。米国では、クリスマスに夫が購入して妻に贈るのが習慣です。婚約指輪は、日本でも花婿が購入して花嫁に贈ります。婚約指輪に給料の3ヶ 月分をかけるのは賢明なことだと思われます。婚約指輪は他のギフトと違って、贈った後に花嫁とともに自分のとこおrに来ることを考えれば、他を削ってでも 婚約指輪に思い切り投資して愛情を表現するのは理にかなっているといえます。すでにダイヤモンドを持っている花嫁には、ルビー、サファイヤ、エメラルドの ジェムクオリティを主石に使った、気品ある指輪を贈ることをお勧めします。

次ページの表は、宝石をモース硬度によって10のダイヤモンドから5~6のトルコ石、ラピス・ラズリを順に並べたものです。硬度7のアメシストまでは、エ メラルドを除いて通常の使用での耐久性に問題はありません。エメラルドは硬度はともかくとしてもろいので、スポーツ、炊事、庭の手入れの時などにはつけら れないのです。2年間はめ続けたある老婦人のエメラルドのリングは石が欠け、しかも石が落ち、見られないものになってしまいましたが、この方は毎日はめた まま庭の手入れをされていたそうです。

ダイヤモンドも長期間つけると若干のキズがつきますが、それは還流商品を見るとよくわかります。仕上げの研磨をすれば修復しますが、2%程度石目方が減少 してしまいます。それを考えて、1カラットのダイヤモンドを買う時は1.00~1.02は避け、余裕をみて、1.1カラットとか1.2カラットを選ぶのが 賢明です。

また、ダイヤモンドは油を吸いつけやすく、表面が曇るとせっかくの輝きが低下してしまうので、ときどき洗浄するとよいでしょう。一番安全で効果的なのは洗 面器にぬるま湯を入れ、石けんをつけた歯ブラシでダイヤモンドの横を磨くことです。すすいだ後はタオルで拭くだけです。万が一の石取れ、石落ちにそなえて シンクで直接洗浄するのは避けましょう。次ページ表のジェダイト、オパール、トルコ石、ラピス・ラズリの不透明石は裏の汚れをとりたてて取り除く必要はな いのですが、すべての透明石の裏の手入れはダイヤモンドと同様、非常に大切です。なぜなら、その美しい輝きと色は裏から入る光や上面から入る光の屈折に よって支えられているからです。自分の宝石を最高の状態に保ちつつ楽しむのは、すばらしいことです。

宝石の硬度と取り扱い表

宝石名・硬度・耐久性使い方保管の方法クリーニングの仕方
ダイヤモンド通常身につけていて心配はないが、ハンドクリームなど、油性の物がつきやすく、輝きを落とすので、清潔にして使う。ダイヤモンド同士がこすれると、表面にキズがつくので、指輪と指輪は離しておく。ダイヤモンドについた油は、歯ブラシなどで洗剤をつけて洗うと、もとどおりの輝きが出てくる(洗面器に受けて洗う)。特に裏側の汚れが落ちにくく、たまりがち。通常は、布でから拭きしただけでも輝きはもどる。
ルビー・サファイヤ通常身につけていて心配はない。ダイヤモンドなどといっしょにせず、指輪と指輪は離してしまう。通常は、布でから拭きしただけでも十分だが、裏側などが汚れた時は、洗剤をつけて歯ブラシなどで洗うときれいになる。
アレキサンドライト通常身につけていて心配はない。強い衝撃を加えると欠けることがある。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗うときれいになる。
ピンク・トパーズ通常身につけていて心配はない。強い衝撃を加えると欠けることがある。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗うときれいになる。
エメラルド・アクアマリンアクアマリンは通常身につけていて心配はない。エメラルドはガラスや机のカドにぶつからないように注意する。洗濯や炊事をする時は指輪をはずす。指輪と指輪は離してしまう。エメラルドは指輪の爪が浮いていないか時々確認が必要。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい場合、アクアマリンは歯ブラシに洗剤をつけ洗浄できるが、同じ鉱物でも、エメラルドはアクアマリンよりデリケートなので、超音波洗浄機や洗剤の使用は避ける。
ガーネット通常身につけていて心配はないが、強い衝撃を加えると欠けることがある。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗うときれいになるが、落とさないように注意。大きな石は欠けることがある。
トルマリン通常身につけていて心配はないが、大きな石は物にぶつからないように気をつける。強い衝撃を加えると欠け、亀裂が入ることがある、温度差が激しいところに置かないこと。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。超音波洗浄機などには入れないこと。亀裂が入ることがある。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗浄する。
アメシスト通常身につけていて心配はないが、強い衝撃を加えると欠けたり亀裂が入ることがある。大きな石が入っている場合は、炊事や洗濯の時ははずすこと。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は、布で軽くから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗浄する。
ヒスイ通常身につけていて心配はない。多少ぶつけても、欠けたり亀裂が入ったりすることはないが、表面にキズがつく。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は、布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗浄する。
ペリドット通常身につけていて心配はないが、衝撃を加えると、欠けたり亀裂が入ることがある。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は布でから拭きをする。汚れがひどい時は、歯ブラシなどで洗浄する。
タンザナイト指輪にはあまりすすめられないが、宝石の部分がぶつからないように注意が必要。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。布にほこりや砂つぶがついていないか注意して軽く拭く。汚れがひどい時には歯ブラシで軽く洗浄する。
ムーンストーン通常身につけていて心配はないが、衝撃を加えると、欠けたり亀裂が入ったりすることがある。物にぶつかったり、こすったりすると、表面にキズが入ることがあるので注意。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は、布でから拭きをする。ただし、布にはほこりや砂つぶなどがついていないか注意して、あまり強くは拭かない。
オパール石やそのまわりが、ガラスや机の角などにあたらないように、また、落としたりしないように注意。衝撃には特に弱く、強い熱を加えると水分がなくなり、亀裂が入る。乾燥に注意。湿度の安定したところに入れる。通常は、布で軽く注意深く拭く。汚れがひどい時には、専門店に相談すること。
ラピスラズリ通常身につけていて心配はないが、表面にキズがつきやすいので注意。他の指輪などとぶつからないように、離してしまう。通常は布で軽く拭く。汚れがひどい時には、歯ブラシなどで軽く洗う。
トルコ石汚れた水や油がつくと、変色してくる。洗濯や炊事の時ははずす。多孔質のため、薬品を避けて保管する。通常はきれいな布で軽く拭く。