ブルー・ジルコン(加熱) ジルコンのブルーは加熱によって引き出されたものですが独特の明るさと柔らかみを持っています。
次ページの写真の美しいブルー・ジルコンは、1920年代に突然世界のマーケットに現れて、人気を博しました。下の写真のブルー・ジルコンのリングは、当時のものの一つです。タイ国でブラウンのジルコンを炭の中で加熱し、今までになかったブルーにすることが可能となったのです。
18世紀以来、セイロン島(スリランカ)南部のマタラから、無色とごく淡い黄色のジルコンが採掘され、「マタラ・ダイヤモンド」と呼ばれました。これは品質の低いダイヤモンドを意味したそうです。また1896年のマックス・バウアーの著書『プレシャス・ストーン』には、透明な黄色みがかった赤色のジルコンはヒヤシンスと呼ばれていたが、人気はなかったと書かれています。当時ほとんどすべてのジルコンは、セイロン島の漂砂鉱床からスピネル、サファイヤ、キャッツアイと一緒に採掘されていました。ジルコンは多くの色を持つ宝石で、現在の主産地はスリランカのほかタイ国、カンボジアです。
ジルコンは複屈折(1つの光線を2つに分ける性質)が大きく、右の写真を見ると、宝石を通して見える稜線が二重になっているのがわかります。ジルコンはペリドットの約2倍の屈折率を持っており、厚みが増すと二重線の間隔が広がりますが、方向によって異なります。光を分けない単屈折の宝石と、複屈折の宝石の鑑別は、二重線の有無を拠りどころとします。また複屈折の宝石間では、拡大検査で稜線が二重に見える程度を目安にすることができます。
ブルー・ジルコンは、直射日光に当てると1時間で50%程度色褪せます。しかし、それを金庫に保管しておくと、徐々に元のブルーに戻ります。翌日は、10~20%色褪せた状態ですが、数日でほぼ完全に当初の美しい色に戻ります。
ブルー・ジルコンは、硬度は71/2と水晶より硬いのですが、欠けやすいのでリングでは耐久性を考慮したデザインにすることが必要です。ペンダントやブローチにすると傷みが少なく、美しさを保ち続けられます。

Ring, Platinum
Blue Zircon 1pc
Estimated
Weight:5.50ct
Possibly Untreated
Privately Owned Piece,
circa 1920
Name of Mineral : Zircon
Mohs Hardness :6~71/2
Refractive Index :1.925~1.984
Specific Gravity :4.70

Weight : 2.19 ct
Size (mm) : L 7.2 x W 5.8 x D 3.99
Heated
Gem Quality
ジルコン、ダイヤモンド、
合成キュービック・ジルコニア
ダイヤモンドの代替品として、宝石の中で最も感じが近いものが、無色(カラーレス)のジルコンです。また人造石の中では、合成キュービック・ジルコニアが、ダイヤモンドに最も近いものです。キュービック・ジルコニアは、自然界には宝石にカットできるサイズのものは存在しません。現在はジルコンがダイヤモンドの代替品として使われることはありませんが、18世紀以来、ダイヤモンドに近い輝きを持った宝石として注目されてきた歴史があります。そこでジルコンとダイヤモンド、また合成キュービック・ジルコニアの類似点を見るために比較してみると下の表のようになります。
ダイヤモンドの代替品としての
カラーレス・ジルコン
輝きは結晶の透明度、屈折率、硬度など、素材を考慮し、最適なカットが施された時に高まります。分散光は、プリズムを通った様に光が赤・橙・黄・緑・青・藍・紫に分散する現象です。ジルコンもダイヤモンドも、高い分散光を発する特性を持ち合わせています。
写真で見るとジルコンは透明度が低く、輝きもダイヤモンドに比べて弱いのですが、ペンライトを当てると、ダイヤモンドに劣らない分散光を発します。ダイヤモンドは透明度の高さと輝きが抜群で、動きとともに小さなモザイク模様がきらめき、7色の分散光を発します。
ダイヤモンドの代替品としての
合成キュービック・ジルコニア
合成キュービック・ジルコニアも明るく輝き、分散光も豊富ですが、一つひとつの面の鋭さに欠けます。なぜなら、硬度の10(ダイヤモンド)と81/2(キュービック・ジルコニア)という差と、研磨のていねいさの相違が、一つひとつの面に現れているからです。また、ルースの状態で、同じくらいの大きさのダイヤモンドと、合成キュービック・ジルコニアをてのひらに載せてみると、重さが大きく異なり、鑑別が可能です。
合成キュービック・ジルコニアは、ジルコンよりもよりダイヤモンドに近い美しさを持っていますが、価値は低いものです。中近東では22Kに合成キュービック・ジルコニアをセットしたジュエリーが使われているので、購入する時にはダイヤモンドと間違わないよう注意が必要です。
Diamond

Weight : 1.12 ct
Size (mm):Diameter 6.7 x D 4.11
Untreated
Gem Quality
US $12,000
Colorless Zircon

Weight : 2.15 ct
Size (mm):Diameter 7.47.5 x D 4.61
Untreated
Gem Quality
US $150
Synthetic Cubic Zirconia
Weight : 1.71 ct
Size (mm):Diameter 6.56.6 x D 3.91
US $15

"合成"キュービック・ジルコニア
について
1965年のGIA(米国宝石学会)の教科書には、合成キュービック・ジルコニアが掲載されていません。当時、ダイヤモンドに似せた人造石は、合成スピネル、合成サファイヤ、チタン酸ストロンチウム、合成ルチルなどでした。いずれも無色のものが存在します。しかし美しい輝きに欠け、ダイヤモンドとは異なった感じのものです。1970年代中頃になって本格的な合成キュービック・ジルコニアの時代が始まりましたが、1カラット当たりの原石の価格は、当時10ドルだったものが現在では数セントと、数百分の1に下がりました。人造石は美しくても、大量に作ることが可能なため稀少性がなく、宝石とはいえないことが理解できる一例です。
なお天然のキュービック・ジルコニアはごく小さな結晶として自然界に存在しますが、宝石にカットできるサイズのものはありません。
品質の見分け方
ブルー・ジルコンは、色が濃すぎると透明度が下がり、美しさを失います。あまり濃すぎないことが、美しいものの条件です。また、肉眼で見えるキズの無いこと、カットの丁寧さ、特にアブレージョン(稜線の擦りキズ)の少ないことがポイントです。
ブルー・ジルコンは、加熱によってブルーの色を出しているので、処理中に亀裂が入ったり、良い色に仕上がらないリスクが伴います。美しいブルー・ジルコンの価値は、美しさとそのリスクを加味したものです。
選び方
ジルコンのブルーは、サファイヤにもアクアマリンにもない、独特の色合いがあります。もしこれがファンシーブルー・ダイヤモンドであれば、1カラットで1,000万円を超えてしまうかもしれません。現代のジュエリーに再びブルー・ジルコンが、使われる可能性もありそうです。宝石商が加熱処理と褪色の説明がきちんとできることを条件に、ブルー・ジルコンを品揃えする時がきているのかもしれません。
選び方のポイントは、ジルコン特有のブルーのモザイク模様にメリハリがあり、きらめきが美しい、多少淡めのものにすることです。
3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり500USドルが目安です。(2001年現在)

Size(mm):Diameter 8.18.2 x D5.76
Heated
Gem Quality
US $1,000
of gems that are
polished to 3-carat size

