シトリン(加熱)

ライブラリ
2018年05月02日

シトリンの語源は、フランス語でレモンを表す「シトロン」で、若干黒みのかかった黄色のクオーツ(水晶)が、シトリン(黄水晶)として知られてきました。 右の写真のように黒みがかった色のものが、天然のシトリンです。しかし、これは宝石として通用することはありませんでした。

1883年ブラジルで、まったくの偶然からアメシスト(紫水晶)を加熱すると、鮮やかな黄色に変化することがわかりました。この色がトパーズという宝石に 似ていたことから、長い間、間違って「ゴールデン・トパーズ」と呼ばれました。しかしながら、トパーズはクオーツとはまったく異なる鉱物です。現在では下 の写真のイヤリングに使われているような加熱アメシストが、シトリンと呼ばれてジュエリーの素材となっています。

多くのアメシストは約450℃で加熱されると、シトリンに変化します。この加熱は、その宝石が持っている潜在的美しさを引き出す容認出来る処理と理解されています。

多くのアクアマリンも、グリーン・ベリルを420℃近くで加熱する処理が行われており、シトリンと同様、一度変化した色は元には戻らず永続します。

シトリンやアメシストと関連の深い町に、ドイツのフランクフルト西南西120キロに位置するイーダー・オーバーシュタインがあります。1497年にこの周 辺から、クオーツの一種のメノウが産出しました。その後アメシストも産出し、ここで研磨が続けられました。一時はメノウの原石の枯渇で下火になったことも ありましたが、1830年代にブラジルに渡ったイーダーの人々がメノウの原石をここに送って、活気を取り戻させたのです。1900年頃には研磨にモーター が使用され始め、メノウ、アメシスト、シトリンがロシアのサンクト・ペテルブルグをはじめ、ヨーロッパ各地へ盛んに輸出されました。現在もイーダーには約 400人のカッター(研磨工)がおり、カラーストーン研磨の世界拠点の一つになっています。シトリンはアメシストやメノウとともに、イーダーを支えてきた 宝石です。

Name of Mineral : Quartz
Mohs Hardness : 7
Refractive Index : 1.544~1.553
Specific Gravity : 2.66

Weight : 40.14 ct
Size (mm) : L 23.4 x W 19.4 x D 13.06
Goias, Brazil
Untreated
Gem Quality
us $1,200

産地の特色

現在、シトリンの素材であるアメシストの主要産地はブラジルです。バイア州、リオ・グランデドスル州、ミナス・ジェライス州、ゴイアス州から産出します。 14ページのイヤリングに使われている濃いめのオレンジイエローのシトリンはリオ・グランデドスル産で、この色は最初の採掘地名にちなんでパルメイラ・カ ラーと呼ばれています。アメシストはザンビアからも産出されますが、こちらは加熱しても色が変わらず、シトリンにはなりません。

Weight : 21.81 ct
Size (mm): L 21.8 x W 15.5 x D 11.37
Heated
US $600

バイア

バイアは、ブラジルの宝石産地の中心であるミナス・ジェライス州よりも北に位置する州の名で、ここから採れるアメシストを加熱したシトリンを、バイアのシ トリンと呼びます。色は淡い黄色です。比較的大きなサイズが産出され、価格はファセットカットされる宝石の中では、割安といえます。

マデイラ

ブラジルのリオ・グランデドスル州で採れるアメシストを加熱したシトリンは、最も色が濃く、かつ赤みを帯びています。このシトリンの色が、ポルトガル領の マデイラのワインの色に似ていることから、マデイラと呼ばれてきました。シトリンの黄色は産地によってさまざまであり、ジュエリーに使う時は、産地ごとに 別の宝石と考える必要があります。

Weight : 9.67 ct
Size (mm):(13.0 x 15.3) x
D 9.08
Heated
US $600

アメトリン

アメシストとシトリンの二つの色を持つアメトリンは、バイカラー・アメシスト・シトリン、バイカラー・シトリン・アメシストとも呼ばれています。

Weight : 6.20 ct
Size (mm): L 11.9 x W 9.1 x 
D 7.29
Untreated
US $300

品質の見分け方

産地によって色みの異なるシトリンの品質の善し悪しは、グレイみや黒みを感じない、純色であるかどうかがポイントです。

パルメイラ、マデイラ、バイア、それぞれの色みについては、選ぶ人の好き好きです。また、どんなジュエリーに使うかで、どの産地のものを選ぶかが決まります。

宝石の美しさを色の濃淡で比べることは意味がありません。色の濃淡は、選ぶ人の好みによるからです。ただし、より多くの人が好むものは、稀少価値となる要 因の一つです。宝石の品質がきちんと理解されると、淡めでも非常に美しいものが、いっそう注目されるようになるでしょう。将来淡めで美しいものをより多く の人が求めるようになると、その稀少性が高くなり、結果として価値が上がるものも出てくると思います。

QUALITY SCALE
CITRINES

Heated

選び方

シトリンは美しいにもかかわらず、ファセットカットされている宝石の中では割安なものの一つです。美しさと大きさを同時に楽しむことを、選ぶ時に念頭にお いてください。2個で5カラットのパルメイラのモダンなイヤリングや、50カラットのバイアのブローチやペンダントなどは、同じ大きさのほかの宝石では決 して手に入らない価格で、高品質のものを買うことができます。

大きくてもアクセサリークオリティのものは美しさに欠け、シトリンの良さが発揮されていないので、避けるのが賢明です。

3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり80USドルが目安です。(2001年現在)

A GEM OF VALUE

Weight:4.92ct
Size(mm):L12.1 x W10.0 x D7.02
Heated
Gem Quality
US $150

 

クオリティスケール上でみた品質の3ゾーン

3カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率