モゴック産ルビー(加熱)

ライブラリ
2018年05月17日

ルビーの語源は、ラテン語で赤を意味するルベウスです。1800年以前はレッドスピネルも赤系統のガーネットも含めて、赤い宝石はルビーと呼ばれていました。

ルビーは、サファイヤと同じコランダムという鉱物で、主成分はアルミニウムと酸素です。純粋なコランダムは無色で、クロムという物質の混入で赤くなったも のがルビーです。クロム1%程度がルビーとしては最適で、さらにクロムの量が増えすぎるとグレーになってしまい、ルビーと呼べない、美しさのないただの鉱 物になってしまいます。

モース硬度はダイヤモンドの10に次いで硬い9で、日本名は鋼玉です。コランダムの中で赤系統のものをルビーと呼び、それ以外のものはすべてサファイヤと呼びます。

ミャンマー(ビルマ)のモゴック地方の鉱山は、15世紀から採掘が始まり、それ以来主要な産地となってきました。モゴック産ルビーの特徴は、次ページの写 真に見られるような"柔らかい色"です。これはカシミール産サファイヤやコロンビア(ムゾー鉱山)産エメラルドと同じ質の柔らかさです。ルビーではタイ産 よりモゴック産が、サファイヤではモゴック産よりカシミール産が、エメラルドではザンビア産よりコロンビアのムゾー産が、それぞれ比較すると何ともいえな い柔らかな色をしているのがわかります。
モゴック産ルビーの6Sは濃いめの赤で最高の色とされているピジョンブラッド(鳩の血の色)で、透明度も高いものを指し、同じようなものがタイ産にも存在 します。しかし淡めの色になると、モゴック産はパープルを帯びて明るい色になります。これはモゴック産ルビーが紫外線に対して発光する特性(蛍光性)が強 いこと、黒みを増す鉄の不純物が少ないこと、そしてブルーみを増やすチタンが存在するためです。

Ring, Platinum
Mogok Ruby1 pc
1.59 ct
Heated
Diamond 2 pc
0.27 ct
US $14,000

Name of mineral : Corundum
Mohs hardness : 9
Refractive index : 1.762~1.770
Specific gravity : 4.00


Weight: 2.79 ct
Heated
Gem Quality
US $15,000

産地と種類

1896年に出版されたドイツの宝石学者マックス・バウワーの著書「宝石」によると、ルビーの産地はミャンマー(ビルマ)のモゴック地方が主で、タイやス リランカなどは、その品質の低さと量の少なさから重要視されていませんでした。しかし1960年に起きたビルマの政変と鉱山の国有化は、モゴック産ルビー の産出を激減させてしまいました。そして、当時品質が低いとされてきたタイ産ルビー(タイ・カンボジア国境のカンボジア側のパイリン地区を含む)が見直し されるようになったのです。これは加熱による色の改良の技術が向上したためです。そして1993年を境にミャンマーのモンスー産のルビーが市場での競争力 をつけ、タイ産にとって代わりました。そのほか東アフリカやベトナムから産出されています。

モゴック産

モゴック産ルビーは紫外線に当たると強い蛍光を発し、パープルみの赤になります。この強い蛍光性が、他の産地にない柔らかな色みを出しているのです。しか しジェムクオリティで大粒のものは少なく、5カラット以上になるとダイヤモンドをはるかに凌ぐ価格になります。現在では、多くがタイのバンコクに運ばれて 研磨されています。

タイ産

タイ産ルビーの主な鉱山は。タイのチャンダブりのクラン地区とカンボジアのパイリン地区です。色の淡すぎるもの、濃すぎるもの、透明度に欠けるものが多い のですが、熱処理技術の向上によって、黒みを少なくするなど色の改良が可能となり、商業的に使用できる品質が飛躍的に増えました。ジュエリークオリティと アクセサリークオリティではリング台などの規格サイズに合った研磨がされるようになり、ジュエリーとしての使いやすさが向上しました。

スリランカ産

通常、色の淡いものが多いのですが、モゴック産に匹敵するもの も稀に産出します。スリランカはサファイヤの産地として非常に重要ですが、淡めのルビーも透 明度が高く、美しいものもたくさんあります。この写真は明度3のスリランカ産ルビーで、透明度も高く輝きも十分で、明度6以上のタイ産ルビーよりも美しい と、私は思います。

品質の見分け方

モゴック産ルビーについては、クオリティスケールのビューティグレードを理解することが大切です。Sは輝きのある美しい色で、Dは透明度が低く美しさに欠 けるのがわかります。ルビーと名がつけば高値をつけることがありますが、半透明なものは透明なものに比べ、美しさが低いと見るのが適切です。
一方、ルビーの明度については、どれくらいの濃さが最適なのかは意見の分かれるところです。任意に行った300名(男女比率は半々)アンケートでの好まれ るルビーの色は、明度6が60%、明度5が35%、明度4が5%という結果でした。宝石は厳密には一つひとつが違うものであり、好みもありますが、伝統的 にSの6と5の境界付近が最も好まれるようです。しかしジュエリーにセットされた状態や夜間の暗い照明下での美しさを考慮すると、それより淡目のSの5と 4が最適な明度といえるかもしれません。

「宝石2」にRUBY(無処理)が掲載されています。ご参照ください。


QUALITY SCALE
MOGOK RUBIES
Heated

選び方

資産性を重点に逸品を選ぶなら、稀少性の高い6Sのピジョンブラッドをお勧めします。美しさを重点にするのならば5Sもお勧めで、将来稀少性が高くなる可能性があります。

通常、店頭ではモゴック産のルビーと明示して販売しているところは少ないのが現状です。しかし100万円以上のものは、産地がどこかを確認すると良いで しょう。どくわずかの違いですが、比べてみるとモゴック産の特徴がわかります。特に若干淡めのところでは、ピンクがかった明るい色がモゴック産の特徴で、 ジュエリーとして選ぶポイントになります。アクセサリークオリティで原産地表示をするのは、購入者に低品質のものを価値あるものと錯覚をおこさせるので、 業界としては自粛しています。しかしジェムクオリティの100万円を超えるものに原産地を表示することは必要で、今後のジュエリー業界の課題であると思い ます。

1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり3,000USドルが目安です。(2004年)

クオリティスケール上でみた品質の3ゾーン


1カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率

VALUE INDEX
ct sizeGQJQAAQ
1030.015.01.5
32.01.00.1
10.60.20.05
 
 
 
-GQ-Gem Quality
-JQ-Jewelry Quality
-AQ-Accessory Quality