1993年を境に、ミャンマーのモンスー産のルビーが、市場での競争力をつけたため、タイ国産に取って代わりました。モンスー地方は、ミャンマーの中央部 の都市・マンダレーの東に位置します。マンダレーの北には、ルビーの産出では伝統のあるモゴック地方があります。モンスーの原石はタイ国に持ち込まれ、 チャンタブリで研磨されます。
モンスーの原石は1980年代中頃に産出がありましたが、褐色でそのままでは使えませんでした。しばらくして、この原石に適した、高温加熱方法が発見さ れ、モゴックのルビーに劣らないものが現れました。しかしモンスーの原石はタイ国のものと比べてキズが多く、その亀裂の中に加熱時に使う化学薬品がガラス 状に異物となって入り込んで残ることがあります。一見割安に見えても、このようなものの価値は低いのです。モンスー産ルビーには、特に大きなものや小粒の ものは少なく、多くは0.3~0.5カラットに仕上がるようです。 次ページの写真の6個のモンスー産ルビーは、0.5~1カラットの代表的な形(シェイプ)です。現在市場ではオーバルが断然多く、リングのメインの宝石と して使われます。この6個のルビーは、多くの中から美しい輪郭のものを選びました。たとえばオーバル、ペアーシェイプ、ハートシェイプの場合、肩(角)の 丸みのバランスが美しさのポイントになります。丸に近いハートも細長いハートもこれは好みの問題です。しかしハートを形作るラインの微妙なバランスがその 宝石を豊かに見せるかつまらないものにするかを左右します。姿・形の善し悪しは数値で表せませんが美しさの判定には欠かせません。
モンスーでルビーが産出される少し以前に、ベトナム産ルビーが市場に現れましたが、合成石の混入、国の規制、産出量の限界などの悪条件が重なり、現在タイ 国の市場ではほとんど目にすることはありません。合成石の混入は単に当事者間の問題ではなく、ベトナム産ルビーの信用を失墜させて産業を成り立たなくして しまいました。

Ring, Gold
Mong Hsu Ruby 3 pc
0.87 ct
Heated
Diamond 2 pc
US $6,000
Name of Mineral :Corundum
Mohs Hardness : 9
Refractive Index : 1.762~1.770
Specific Gravity :4.00

Mong Hsu, Heated
Gem Quality
us $15,000 (Total)
光源と明暗による見え方の違い
宝石の色は光源と明暗によって大きく見え方が違ってきます。濃紺のスーツやバッグが室内では黒に見え、太陽光の下で初めて濃紺だとわかったという経験をお 持ちの方は多いでしょう。宝石の場合はもっと大きな差が生じます。宝石に入る光の強さや、どんな光が当たるかで色が変化して見えるのです。
晴れた日の昼近く、北光線(北向きの窓から入る自然光)で見ていたルビーを、夕刻や雨の日の光線で見ると、その品質が半分以下に下がったように見えます。 単にその宝石の色が暗く見えるというだけでなく、美しさが欠けて見えるのです。プロは、基準となるマスターストーン(付け石)と比較して品質判定をするの で、条件が変化しても品質の判定を間違えることはありませんが、経験の浅い人や、勘を頼りにしている業者の判定はおぼつきません。ニューヨーク、ジュネー ブ、東京など、世界の信用のおける宝石商は、必ずマスターストーンや自社の在庫と比べて、品質確定をしています。
ルビーは、白熱電灯の下で特に美しさが発揮されます。ちょうど食卓に並んだ料理が白熱電球の下では、蛍光灯に比べおいしそうに見えるのと似ています。蛍光 灯の下では、ルビーも食卓の料理も精彩を欠き、美しさが半減します。赤系と橙系の色の宝石は、蛍光灯の下では美しさを欠いて見えるのと同時に、各々の宝石 の品質の比較もしづらいのです。
反対にサファイヤやアクアマリンなど、ブルー系の色の宝石は、白熱電灯の下よりも蛍光灯の下で見たほうが、美しく見えます。また、これらの宝石を蛍光灯の下で見ると、品質の比較も容易で、少しの差でもはっきりと判定できます。
同じルビーでも写真のように、1.晴れた日の北光線、2.雨の日の光線、3.白熱電灯の下、4.蛍光灯の下、と光源によって色が違って見えるものです。室内での宝石の色は、白熱電灯と蛍光灯の光をミックスして確認するのがよいでしょう。

1. 晴れた日の北光線

2. 雨の日の光線

3. 白熱電灯の下

4. 蛍光灯の下
Size (mm):Diameter3-4
Mong Hsu Ruby, Heated
Gem Quality
品質の見分け方
第一印象の美しさは大切です。ひと目見て美しさを感じさせるものは、透明度が高く、宝石全体にモザイク模様のバランスがとれてメリハリがあり、姿・形の良さが出ているからです。
フランス人は濃いめ(明度7・6)を、イタリア人や日本人は淡め(明度5・4)を好む傾向にあります。世界中からバイヤーの集まるバンコクでは、国によっ て色の濃淡の好みがさまざまなため、美しいものには広い範囲に高い値段がつけられています。色の濃淡は好みによる需要と、供給のバランスということがわか ります。
最後に不完全性の判定ですが、欠点や耐久性を損うものでない限り、肉眼で見えないキズには神経質になる必要はありません。しかし、10倍に拡大して見える 表面のキズやスクラッチ(引っかき傷)をどこまで許容するかなど、仕上げの善し悪しの基準は、プロが責任を持つべき領域です。

選び方
ジュエリーの構想にマッチしている品質かどうかが、選び方のポイントです。メインの石にモンスー産ルビーが使われているリングは、やはりその品質の善し悪 しが、リング全体の格を決めるので、存在感があるジェムクオリティ、または厳選されたジュエリークオリティがおすすめです。いくつかの小粒の宝石が使われ ているスタイルの場合は、全体の粒の、色の濃淡と質が合っているかどうかが大切です。
ほかの宝石にも共通することですが、光の弱い所で身につけても美しさを発揮するのは、多少淡め(明度4前後)なので、濃いめのものよりも、淡めで美しいものを選ぶことが賢明です。
1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり2000USドルが目安です。(2001年現在)
A GEM OF VALUE

Weight : 0.68 ct
Size (mm) : L 6.1 x W 4.4 x D 2.60
Heated
Gem Quality
US $1,500
クオリティスケール上でみた品質の3ゾーン

3カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率

