エメラルドカット。ダイヤモンド(無処理)
美しいエメラルドカットには素材の良さが特に要求されます。
エメラルドカットという呼び方は、コロンビア産のエメラルドがこの形にされることから定着しました。六方柱形のコロンビア・エメラルドの原石は、この形にするのが一番美しく、ロスが最も少なくなります。コロンビア・エメラルドにとっては、この形が一般的で、ラウンドやオーバルは特殊な形なのです。
一方、ダイヤモンドは通常、原石の適性と需要から、ラウンドにカットしたほうがコストパフォーマンスに優れています。ダイヤモンドはラウンドが一般的で、そのほかの形はファンシーシェイプとなります。エメラルドカットにされる原石は、ラウンドにカットされるものとは形が異なりますが、質の良いものに限られ、ダイヤモンド全体の2%以下にすぎません。ファンシーシェイプに適した原石はどの宝石にも一定量存在しますが、特定のシェイプに片寄った需要が発生した時、ほかのシェイプに適した原石も使われることになり、コストアップになります。
エメラルドカット・ダイヤモンドの美しさのポイントは透明度と姿の良さです。そして結晶の善し悪しが、直接透明度に影響します。ダイヤモンドカッターは、「エメラルドカットにおいては、素材の欠点を隠すことができない」といい、美しいエメラルドカットには、素材の良さが特に要求されます。料理の素材が良ければより一層美味しくなるのと同じです。
次ページの写真は、2.02カラットの透明度が高く、輝きの強いエメラルドカット・ダイヤモンドです。上面(クラウン)に3ステップと、この写真では見えませんが、下面(パビリオン)に4ステップの面が規則正しくとられています。ラウンドやマーキスのカットのようにきらきら輝くのではなく、落ち着いた品格のある仕上がりになるのが、エメラルドカットの特徴です。
日本市場では1950年代に特に好まれました。おそらくそれは、エメラルドカットの持つ控えめで芯の強い美しさが、日本の着物に映えたからだと思います。


カット : 面のとり方
ステップカット
ステップカットは、ガードルに平行な面が、ステップ(段)状につけられたカットの総称です。平行な面が造る単純ともいえる反射のパターンがこのカットの特徴で、動的なブリリアントに対し静的な輝きといえます。ブリリアントカットとともに、ファセットカットを代表するものです。
エメラルドカットは角を落とした正方形または長方形のステップカットです。ステップカットには、そのほかにスクエア(正方形)、バゲット(小さな長方形)、テーパーバゲット(台形)など、さまざまな形があり脇石としてよく使用されます。カラーストーンでは、クラウン部分がステップカットで、パビリオン部分がブリリアントカットというものや、その逆の組み合わせのものもあります。これらを、ミックスカットといいます。

ブリリアントカット
写真でおわかりのように、ブリリアントカットは中心からファセットがガードルに向けて放射しているものです。ダイヤモンドのラウンドシェイプ・ブリリアントカットは、その基本的なもので、通常省略されてラウンド(丸)や、ブリリアントカットと呼ばれています。マーキスシェイプ・ブリリアントカットやペアーシェイプ・ブリリアントカットも、カット(面のとり方)やシェイプ(形)が省略され、単にマーキスとかペアーシェイプと呼ばれます。ブリリアントカットは名が示すように、強い輝きを発揮する面のとり方で、品格の高い落ち着いたステップカットとは、また別の美しさを発揮するものです。


プリンセスカット
プリンセスカットはスクエアの形とブリリアントの輝きを融合させた成功例です。プリンセスカットは今まで開発されたスクエア・カットの中で最も人気があります。
品質の見分け方
澄んだ氷のような高い透明度、内部から発しているような輝きと、姿・形のバランスが、エメラルドカットの品質を見分けるポイントです。これは肉眼で比較して、把握する以外にありません。そしてこの美しさは、結晶の善し悪しで99%決まってしまいます。質の良い結晶は、腕の良いカッターの手にかかります。
一般にステップカットは外に発するブリリアンシィが少なく、内部のインクルージョンなどが見やすくなります。特に1カラット以上のクラリティがS12(10倍の拡大で楽に発見できるキズのあるもの)の場合、キズが肉眼で見え、美しさを損なうケースがあります。そのため、現物をよく確かめることが必要です。
宝石を判定する重要な要素は、「姿の善し悪し」です。簡単な表現ですがその要素は複雑です。落とした角のバランスや、宝石の厚みが深すぎないか、面の大きさが適切で存在感があるかどうかなど様々です。しかし具体的な要素を丁寧に判定していくとカットの質が見えてきて姿の善し悪しが判定できます。
淡い色の原石はエメラルドカットされた場合、色が中途半端になります。ライト・イエローの原石は色を濃く見せるプリンセスカットにされることが多く、より魅力的な宝石に仕上げられます。
選び方
エメラルドカットのダイヤモンドらしさを楽しみたい方には、1.5カラット以上のジェムクオリティをおすすめします。透明度が高く、形の良いエメラルドカットは、同じダイヤモンドでありながらラウンドブリリアントとは、まったく別の宝石に見えます。その高い品格は、自然の持ち味をそのまま生かしているからでしょうか。
エメラルドカットを選ぶ時は、ジェムクオリティで色がGカラー以上、キズが肉眼で見えないことを目安にしてください。縦横の比率は、デザインとの調和と好み次第です。現状ではラウンドブリリアントと比較すると、かなり割安です。
1カラットサイズのジュエリークオリティは石のみの価格で1個当たり5,000USドルが目安です。(2001年現在)

A GEM OF VALUE



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