
タイのバンコクは、ルビーの研磨と取引の中心地として有名ですが、1940年頃にはわずか200~300人のカッターがジルコンを磨いていたと聞きます。 タイ産ルビーの研磨は1960年頃に本格化しました。それまではモゴック産ルビーの取引が盛んで、タイ産のものは黒っぽいものが多かったため重要視されて いませんでした。しかし、ビルマの政変と宝石鉱山の国有化によってモゴック産ルビーが激減したうえに、タイ産ルビーは飛躍的にシェアを高めました。
淡い赤色のコランダムがピンク・サファイヤとして売られていることがありますが、この実体は淡いルビーです。ルビーとしては淡いので、ピンク・サファイヤ という名称で販売促進をしているわけです。しかし赤系統のコランダムをある明度を境にルビーとサファイヤに分けるのは、本来不可能なことです。ボーダーラ イン近くのものは、業者によってルビーといったり、ピンク・サファイヤと呼んだりします。赤みのコランダムは淡いものも含め、ルビーと呼ぶことが根本的な 問題解決になり、業界の信頼性向上につながる、と考えます。
1970年代後半に宝石が全般に値上がりし、ルビーもその例外ではありませんでした。1.5~3.5mmの小粒のラウンドやスクエアのルビーはジュエリー には必要不可欠なもので、全体の産出量が増えたため、比較的高品質のものが見られるようになりました。世界的な需要も高まり、バンコクでのジュエリー生産 に伴って、1980年代には小粒石が値上がりしていきました。0.1~0.2カラットのジェムクオリティのタイ産ルビーは10年間で価格が10倍になり、 ダイヤモンドに近づいてきました。

Ring, Gold
Thai Ruby1 pc
1.80 ct
Heated
Diamond 18 pc
0.56 ct
US $6,500

Name of mineral : Corundum
Mohs hardness : 9
Refractive index : 1.762~1.770
Specific gravity : 4.00
Weight: 3.14 ct
Heated
Gem Quality
US $40,000
色みの幅
タイ産ルビーの品質を知るには、まずレッドなのか、レッドパープルなのか、レディッシュパープルなのかを把握することが大切です。一般的には宝石は産地ご とに決まった色みがあり、色みが産地の特色の一つになっていますが、タイ産ルビーの場合は、オレンジに近い赤から赤みのパープルまで幅広く存在していま す。

レッド
わずかにオレンジがかった赤で最高の色みとされ、6Sのものにはビルマ産のピジョンブラッドに匹敵するものも存在します。この種のものは、一見しただけで はタイ産かモゴック産かの判断がつきにくく、インクルージョンや蛍光性などから総合的に判断する必要があります。しかし残念ながら、大部分は色が濃すぎ て、透明度の低い濁ったものが多く、ビューティグレードはB、C、Dのジュエリークオリティとアクセサリークオリティです。
RP(レッドパープル)
典型的なタイ産の色みで、多くのタイ産ルビーがこの色みの中に入ります。タイ産ルビーの特徴の一つに、明度が淡くなっても色みは変化しないということがあ げられます。これはモゴック産ルビーの、色が淡くなるほど強い蛍光を発し、色みが赤からパープルに変化するという特徴とは異なります。淡めのタイ産ルビー は色のりが悪くなり、残念ながら魅力に欠けます。

rP(レディッシュパープル)
パープルに近い赤で、かなりのブルーみが感じられます。けれども青紫のバイオレットサファイヤと比べると赤みが強く、赤の範囲に入ります。この色みの中ではSとされる美しいものでも、ルビー全体のビューティグレードではBとされます。
品質の見分け方
左の色みの幅で説明したように、タイ産の品質で大切なのは色み(色相)です。レッド、レッドパープル、レディッシュパープルと青みがかっていくほど、ル ビーの色相としては低いと判定します。レディッシュパープルの場合は、非常に美しくてもルビーとしての美しさの評価は低く、ビューティグレードはBとされ ます。
どの宝石でも、一般に透明度が高いものは美しいものが多いのですが、タイ産ルビーには時として色に深みがない(色が水っぽい)ものがあります。これは素材 そのものに起因します。品質を見分けるには形(なり)の良さ、色ムラ、彩度、インクルージョンの有無などをポイントにした全体の美しさを見極めていきま す。
次ページのクオリティスケールは、レッドパープルのものから選ばれたルビーで構成されています。
QUALITY SCALE
THAI RUBIES
Heated

選び方
タイ産ルビーを選ぶコツは、黒みのものを避けることです。特に照明の強い店頭では黒みが目立たず、かえって赤が際だって見えてしまうので、何か物の陰に置 いて見るなどの注意が必要です。また蛍光灯の下では他の品物かと思うくらい色が悪く見えることも覚えておくとよいでしょう。
小粒の材料宝石のほとんどがタイ産(1980年代)で、個数を使ったバンドタイプのリングやジュエリーが多く作られています。小さくカットしても美しい赤 を引き出すことができるので、その特徴を生かした小粒のもので作られたバンドタイプのリングブローチなどを選ぶことも賢明な選択です。
1カラットサイズのジュエリークオリティの価格は、石のみで、1個当たり2,500USドルが目安です。(2004年)
クオリティスケール上でみた品質の3ゾーン

1カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率

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